⑦よこよんカフェまでの道のり

開店前日の緊張感はなかった。とにかく不安で押し潰された。

この場所でどれだけの方が来てくれるのか、私はやっていけるのか、など思い浮かぶことは切りがない。

開店前日は仕込みをして朝5時半に横になった。

30分の仮眠。心臓がバクバクいってこれはやばい。死ぬんじゃないか、開店と同時に閉店かも、と本気で思った。

開店前からメルボルンの友人、バリスタのあかりちゃんが3週間ほど泊まり込みで手伝いに来てくれた。

あかりちゃんが来てくれて本当に助かったよ。ありがとう。

開店日は高校からの親友も手伝いに来てくれて家族総出で迎えることができた。

最初の一年はとにかく必死だった。ひとりも来客がない日もあった。その気持ちをいかにコントロールできるかがとにかく課題だった。
すべてが手探り。すべて自分の責任。

「趣味でやっていていいわね」とか、「本当にここで食べていこうと思ってるの」とか辛口コメントをいただくこともあったが、かえって何くそ精神の原動力にもなったので、今思うととてもありがたかった。

でもその中でカフェをいつも利用してくれてSNSでいつもあげてくださる方、雨の日に「残っていたら買いますよ」と言ってくださる温かい方もいた。本当にそうゆう方たちに支えられてきて今がある。感謝しかない。

最初は週5日でOPENしていたが、身体にもかなり負担があり、一年目後半には臨時休業が続いたため、営業日を週4日に減らした。

カフェを通していろいろな方が来てくださり、今まで自分は動く事ばかりだったが、こんなにも個性豊かなお客さんに囲まれる場所になった。
とにかくおもしろい人が多い。絶対カフェをやっていなければ会えなかった人たちだ。

そういうお客さんの特徴は、自分の好きなことをひたすらピュアにまっすぐやられていること。
人と比べることなく、ひたすら嬉しそうに自分の好きをお話しされる。聞いているこちらも嬉しくなる。

手で作るものには気が入る。どうしてもその人が出てしまうから、私はいかに自分自身が良い状態でいられるかを気にする。思考、食事、着る物などがそうだ。なるべく身体に良いものを、なるべく自分に負担をかけないで良い状態で作りたい。食べていただいた時に伝わるように。少しでもほっとしてもらえる食事になれたらと。

結婚もないかもな、と1人で始めたカフェに今では夫が入り、息子も産まれた。両親も安心したようで疲れながらも日々息子を見てくれている。旦那さんは外国人かと思いきや、自分を外国人だと思っている珍しい日本人だった。

いろいろな人に囲まれて、よこよんカフェが育っている。5年目。小さくても強いカフェにしたいとどこかの時点で思い始めた。

たぶんこれからはもっと楽しくなると思う。

自分らしく、私たちらしく、カフェと一緒にこれからも楽しんで生きて行きたい。
Yuko


お読みくださいまして、ありがとうございました。

よこよんカフェ
土澤 ゆう子

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