⑥〜帰国からカフェオープンまで〜

自分のこれからの方向にしっくり来た私は、旅から戻ったあと、両親に地域の方が使うカフェをしたいと伝えた。

ちょうど祖母の家をリフォームして家族で移り住む計画だったので、父から元応接間をカフェスペースにしたらどうか、と提案があった。

それから内装業者の方と打ち合わせをしながら、メルボルンに戻り帰国の準備と動き出した。

お世話になったグリーソンファミリーや友人たちとのお別れは感慨深いものがあった。10年間いろいろあったけれど、こうして笑顔で「またね!」と言えることに感謝しかなかった。


自分の中では帰国してからの次の目標が決まっているのがまた支えだった。
前回の帰国中から徳島にはたくさんの素晴らしいご縁をいただき、私の中ではもう一つの故郷になっていた。その流れからメルボルンの終止符をなぜか阿波踊りを踊って終わると決め、無事終えることができた(笑)。

八王子に戻ってきてからは八王子市がやっている創業塾に通い、お店を始める為のいろはを学んだ。
ただやはり時々不安にかられていた。果たしてカフェで生活できるのか、こんなボランティア精神でビジネスというものができるのだろうか。。

カフェの工事スタートまで時間的にまだ余裕があったので、友人のまるこさんを通してご縁をいただいた徳島県の唯一の村、佐那河内村のYOME厨房さんに研修をお願いした。

初めてYOME厨房のお弁当をいただいた時、これはすごいな、とシンプルに感じた。美味しいのはもちろん、愛情が溢れすぎている。

カフェを開く前の最後の時間。

ぜひYOME厨房さんで学ばさせてもらえたら、、

オーナーのパパさんとなっちゃんに思いを伝え、1ヶ月半の研修を受け入れていただいた。
足は徳島駅で長期で借りた電動自転車。早朝まるこさんのゲストハウスから山を下り、向こう側の山にあるYOME厨房さんへ通った。


YOME厨房のスタッフのみんなはめちゃくちゃパワフルで楽しい人たちだった。

楽しいだけではなく、誰かが調子が悪い時はすっと誰かがカバーに入ったり、お互いをすごく褒めあっていた。わいわい楽しく作る料理にはたくさんの気が入っていく。
朝のお弁当詰めはチームワーク。
戦場のような朝の忙しい中でも「今日も美味しく食べてきーよ♡」と最後はやさしくお弁当の蓋を閉めていく。


愛で作られたお弁当屋さんだった。

YOME厨房さんは今も着々と飛躍され、厨房を移転し更に大きくなり、お弁当の数、スタッフもあの頃に比べてどんどん増えている。

“心を込めて作るものに命を入れてあげる。自分もが明るく楽しい気持ちでいればお弁当にもハッピーが伝わる。他の人にも伝染する。その輪が広がっていく。みんなが健康でハッピーになっていけばお互い思いやる気持ちが出て、地域に広がる。世界平和の根元は地域社会。その根元は人。人の精神は食から作られる。”

あの時の自分の日記から。

よこよんカフェのポリシーでもある。
(続く)

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